うちのチームでは極力「物事をオープンに」をモットーとしています。
例えば、選手成績は戦略上の問題で外部には公表していませんが、チームの選手や保護者に対しては、全試合の結果と選手の個人成績はデータ化してチームの公式サイト上で閲覧(パスワード管理)できるようにしています。チーム外に対してもInstagramを使って試合結果は勝敗に関わらず必ず公表しています。
春季大会は3試合中2試合、コールド負けです。決して強いチームではありません。よくInstagramで勝った時だけ「チーム一丸となって勝ちました!」と声高らかに宣言しているチームや、自分たちにとって都合よく「公表する試合」「公表しない試合」を仕分けているチームもありますが、うちは全試合Instagramでできるだけ早く結果報告をあげます。
私だって負ければ悔しいし、恥ずかしい時だってあります。負けた試合の結果を公表することは新入団選手獲得には不利に働くかも知れません。そういうこと考えると負けた試合のレポートを書くときは筆も進みません。でもなぜ「全試合公表」にこだわっているかというと、野球は「不完全と向き合う姿勢」がとても重要だと思っているからです。
負けたからといって「なかったこと」のように伏せてしまうのは、不完全と本気で向き合っていないように思います。敗戦の中に収穫を見出し、また前を向いて挑戦する。「負けたから意味がない」ではなく、「負けた試合の意味は自分たちで創る」と思っています。それは良いところばかり探して「僕たち頑張ったよね」と傷を舐め合うのではなく、「この失敗とどう向き合うことが自分たちの成長に繋がるか?」を真剣に考え実行することです。ちゃんと向き合うために「結果を公表することを控えない」と自分に課しています。
そもそも野球は失敗が多い競技です。だからこそ「完璧」を求めて「完璧以外は意味がない」と切り捨てるのではなく、「例え完璧じゃなくて不完全でも、どうやって結果に結びつけることができるか?」を向き合い、追い求めていくものだと思います。
仮に打撃で打ち損じても「一生懸命走ることでミスを取り返そうとする」、例え守備で捕球ミスをしても「素早く拾ってリカバリープレーを一生懸命行う」など、これらは「完璧」ではないものの、結果を取り返そうとする行為です。不完全から目を背けるのではなく、「悔しい」「嬉しい」「悲しい」も含めて等身大の我々を曝け出すことが、不完全と真摯に向きあい、不完全の中でも結果が出せる選手に成長するために不可欠だと思っています。
もちろん、技を洗練させていく上で「完璧」を求めることは必要です。しかし「完璧」に到達するプロセスとして必ず「不完全」は発生します。この工程は不可避です。だからこそ「不完全」に目を背けず向き合うことで「完璧」に辿り着けるのだと思います。
そりゃ勝ちたいです。でも勝利至上主義ではありません。負けることにも意味があります。私は負けることを隠そうとする人ほど勝利至上主義者ではないかと思います。
うちの選手たちは偉いです。
私のような面倒臭いおじさんの言葉に耳を傾け、失敗の中から活路を見出し、敗戦の後も前を向いて、成長しようと努力してくれています。私は彼らのプロセスに価値があると思うからこそ、これからも結果の公表は続けたいと思います。
