野球チームで冬に体力強化に励むチームは多いと思います。
実戦機会が少ない冬のシーズンは体力強化に時間を費やすことがしやすいため、トレーニングに時間を充てているチームが多いのではないかと思います。しかしパフォーマンス向上がトレーニングの目的であれば、体力強化は通年で行うべきだと思います。年間を通じてストレングスメニューを組んで計画的に取り組んでいく方がパフォーマンス向上には有効だと思います。うちのチームはパフォーマンス向上目的、特に走力向上を目的としたトレーニングメニューは季節に関係なく、通年で行っています。
実はそれとは別に「冬に体力強化」を行う意味があります。
それは「春のシーズンを故障なく乗り切るため」です。
現代の中学硬式野球は2月から公式戦が組まれますが、実は「気温が低いこと」自体は直接的な故障の原因にはならないのです。仮に外気温が0℃でもウォーミングアップで筋温を39℃くらいまであげれば気温が理由で肩を故障することはないと言われています。「筋温39℃」というと、汗をかいて、服を脱ぐと湯気が出るくらいの体温です。
2月だけでなく3月も寒い日があります。外気温が低い日の試合ではしっかりとウォーミングアップを行って筋温を高める必要があるのですが、中学生で体力がない選手は筋温を高めるウォーミングアップで疲弊して、試合時のパフォーマンスが落ちる場合があります。
春先の試合はウォーミングアップを入念に行う必要がありますが、そのウォーミングアップで疲弊することなく、パフォーマンスを高め、故障を回避するウォーミングアップがこなせるためには「基礎的な体力」が必要です。特にパフォーマンスが高い選手はそれだけ体にかかる負荷も高いので、入念に準備運動を行う必要があります。参考までにうちのチームでこの冬行っているウォーミングアップメニューは以下の通りです。
5分間走
スプリントトレーニング(40m)×8種類
アジリティ(ラダー→ハードル→スプリント)×10本

夏は5分間走を3分に短縮しますが、基本的にこのメニューは通年で行っています。
防寒ウェアを着込んで体温を下げないようにしてキャッチボール前にこれくらいは動きます。うちの選手はこれくらいのメニューは余裕で消化します。体温を下げないためにも冬はドリンクに温かい飲み物を用意するのも有効だと思います。
これくらい体を動かし、横浜くらいの外気温があれば、よほど高い出力での送球を繰り返さなければ通年でキャッチボールを行うことは十分可能です。実際うちには肩肘の故障者は1人も居ません。冬はこれ以外に技術練習を行った後で体力強化を目的としたインターバル走、サーキットトレーニング、補強運動などを日替わりで実施しています。
春先の試合で故障を回避しながら狙ったパフォーマンスを出せるよう、しっかりとトレーニングに励んでほしいと思います。