「消費者」と「当事者」
- 4月24日
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以前、別のサイトに「野球チームは習い事ではない」というコラムを書きました。
私が言うところの「習い事」とは学習塾が良い例です。
学習塾は「学習を指導すること」を生業とした人が、生徒を「お客様」として迎え、「学習の指導」というサービスを提供する場です。立地の良い場所に教室を構え、最新または独自の教材を用意し、学習指導に長けた講師が生徒をお迎えする。これら全てが「サービス」であり、これらに対して生徒の保護者は「対価」を支払います。サービスが対価に見合わないと思えば、対価に見合うサービスの改善を要求したり、改善が見込めない場合はより費用対効果の良い塾に移ったりします。より多くの生徒を抱える教室になるためには、サービスを改善していくことが必要となります。
一方、「野球チーム」とはどんなところか?
例えばうちのチームの場合。
まずチームは営利目的で活動していません。もちろん私も無報酬です。
「選手」「保護者」「指導者」がそれぞれ役割を持った団体です。必要な費用や役務を皆で出し合い、徴収した予算を原資として必要な道具を買い揃えたり、チーム運営上必要な経費を賄います。関係者で作業を分担します。選手・保護者・スタッフの関係者全員が自らの持てる能力を発揮してチームに貢献しようとします。皆さんそれぞれが「当事者意識」を持って運営にあたってくださっています。
先日、うちのチームでは練習場の草刈りを行いました。
お忙しい中でもたくさんの保護者にお集まり頂き作業を終えました。中にはお仕事の前に駆けつけてくださった方もいました。
また公式戦の役割分担の際にも積極的に「私がやります!」と手を挙げてくださる保護者がたくさんいます。皆さんとても当事者意識を高く持ってくださっています。

なぜうちの保護者の皆さんはこんなに献身的に協力くださるのか?
それは保護者の皆さんが我が子の「本気」に共感してくださっているからではないかと思います。「本気」こそが人の心を動かすエネルギーだと思います。決して恵まれた環境ではありませんが、それでも選手は一生懸命練習に取り組んでくれています。そしてその選手を応援するために、保護者の皆さんもチームのために労力を惜しまず支援してくださっています。本当にありがたいですし、大人の気持ちを動かしている選手たちを誇りに思います。
まだまだ至らないところもあって選手や保護者にご不便をおかけするところもあるのですが、当事者意識の高い選手や保護者の皆さんに支えられています。
「もっと立派なグラウンドがあれば・・・」「もっと予算が潤沢にあれば・・・」「もっと優秀な指導者がいれば・・・」「もっと能力の高い選手がいれば・・・」
消費者目線になれば不満はいくらでも出てきます。
これが当事者目線になると「今の環境で最大限効果の高い練習をするには」「限られた予算を有効に活用するためには」「自分たちだけでも能力を高められる練習方法は」「今の選手たちでパフォーマンスを最大化するには」という考え方に変わります。 当事者になれば不満など言っている場合ではなくなります。