苦手の克服よりも長所を伸ばす
選手を指導していて課題や欠点を指摘することなく、長所だけに目を向けて「いいよ〜!」と褒め続けるだけだったらどんなに楽か、と思うことがあります。
例えば「僕は守備は苦手なので、打撃で勝負します!」という選手が居たとします。
「打撃だけで勝負」という言葉は潔さを感じますが、本当に言葉通り「打撃で勝負しているかどうか?」が重要となります。
「打撃で勝負したい!」という言葉には2つの思惑が考えられます。
①守備のマイナスポイントを打撃でカバーするという覚悟
②守備は苦手なので、打撃だけで評価して欲しいという思惑
①と②は根本的に考え方が異なります。
①は「現在の評価基準に対して自分の特技を活かして勝負します」、②は「現在の評価基準を変えてほしい」という話です。
「打撃だけで勝負したい!」と思う選手は「打撃で圧倒的な結果を出して、周囲が『守備には目を瞑っても致し方ない』と思うレベルに達する」か、「打撃だけで評価してくれるチームでプレーする」かの2択になります。
これはチームについても同じことが言えます。
「うちは打撃に特化したチームです」と宣言するチームにも指導者の思惑は様々。
(A)例え10点取られても11点取って勝ちます!という意思
(B)11点取られても10点取ったことを評価して欲しいという思惑
(A)の覚悟があるならば、守備に目を瞑って打撃練習に特化することを私は悪いことだとは思いません。むしろ潔いとも思います。しかし「打撃のチーム」と公言するなら、試合に負けても守備のせいにすることなく、潔く「打ち勝つことができませんでした」というべきだと思います。
特化とは「苦手なものから逃げる言い訳」ではなく、「そこで勝負する覚悟」の言葉として使うべきものだと思います。逆に言えば「エラーで負けた」という言葉はある程度守備に力を入れてきたチームだからこそ言える言葉だとも思います。
