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東横ポニーBayWinds監督・廣川のBlog

中学硬式野球の現場から見た少年野球に対する指導者の想いを綴っています。
​東横ポニーBayWindsは東京・横浜・川崎を中心として活動する中学硬式野球チームです。

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本当に教えたいのは「技術」ではない

最近、うちのチームでは通常の全体練習以外に自主練習を希望する選手が現れ始めました。選手本人が自分なりに課題を感じ、その課題を克服するために集中的に練習をしたいので練習に付き合って欲しいという依頼です。選手が自分なりに課題を見つけ、課題克服のために指導者に支援を求める。あるべき姿に近づきつつある現状を嬉しく思います。


私は野球指導者です。もちろん技術も教えます。

しかしうちは野球塾ではありません。技術の指導を要望する「消費者」と要望された技術指導を提供する「サービス提供者」の関係ではなく、「野球が上手くなりたい」という想いをエネルギーとして、野球選手としての成長を通して自分に自信を持ち、周囲からの信頼を獲得できるような人になって欲しいと思っています。私が技術を教えるのは選手が「なりたい自分」になるための手段を提供しているに過ぎません。


私は20年くらい野球指導者をやっていますが、「今日は何を教えてくれるんですか?」「教えてくれるならやります」というスタンスで野球に取り組んでいる選手は相当高い確率であまり良い選手にはならないように感じています。これはスタンスが「消費者」だからだと思います。消費者は消費によって成長することはありません。ただ消費するだけです。そういう選手は指導者の想定を超えるような成長を遂げることも極めて稀です。「与えられること」ばかり望んでいる選手は積極性も生まれませんし、上手くいかなくても「あれが足りない、これが足りない」とずっと言い訳に終始するだけで終わります


一方、「成長する選手」というのは「なりたい姿」が明確で、なりたい姿に近づくための方法を常に探しています。冒頭の自主練習を希望するような選手というのは緩やかにでも「なりたい姿」をイメージし、その姿に近づきたいからこそ行動していると思います。

ここに並んでいる2人の左打者。どちらが「打ちそう」ですか?


実はこの2人、同一人物です。

左側の写真の頃、元々ボールコンタクト能力に長けた選手ではあったのですが、当時の指導者に「パワーがない」と言われ続けていました。右側は先週の試合の時の写真です。構えもしっかりして足に力が入っている感じがしませんか?ちなみにこの選手、この試合で右中間に柵越えの本塁打を打ちました。なぜ「パワーがない」と言われていた選手が本塁打が打てる選手に成長できたか?


それは「目標が変わったから」です。

この選手がうちのチームに来た時、「バットに当てるのが上手いのは分かっている。足も速いので流せば簡単にヒットも出る。でももっと高いレベルに到達するためにも、右中間に長打が打てるパワーヒッターにモデルチェンジしよう!」と提案。本人もそれを受け入れて努力を続けてきました。目標が変わったので練習を重ねる中で自然と構えも左から右のように変わっていき、練習中も「強くコンタクトする」ことに対する意識も高まり、反復練習の集中力が上がりました。その結果、対戦チームの指導者から「見た目は結構細いのにあんなに飛ばせるの?」と言われるような選手になりました。もちろん技術も教えましたが何よりも「パワーヒッターにモデルチェンジしよう!」という私の提案を本人が受け入れ、自らの意思で「なりたい姿」に設定し、「なれる!」と信じて真剣に努力してきたからこそ、技術指導に対する吸収力も高まってこの成果にたどり着いたのだと思います。


指導者の希望を選手に押し付けることは良くないと思いますが、何でも「選手任せ」という指導も私は疑問です。選手が動くことを待つだけでなく、自ら選手に働きかけ、選手の視座を高めることも指導者の仕事だと思います。

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