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東横ポニーBayWinds監督・廣川のBlog

中学硬式野球の現場から見た少年野球に対する指導者の想いを綴っています。
​東横ポニーBayWindsは東京・横浜・川崎を中心として活動する中学硬式野球チームです。

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質の高い「ゆるい球」を投げる

冬の季節は体力強化と同じくらい「基礎技術の見直し」が重要です。

理由は簡単です。シーズン中は実戦に近い練習メニューが増えるので、基礎技術修得に使える時間が減ること、実戦まで時間がある冬の季節こそ腰を据えて基礎技術の修正に時間を費やすことが可能だからです。


今日は「投げ方」の話を書きたいと思います。


キャッチボールで「速い球」を投げていると周囲から「球速いなぁ」と注目を浴びます。そのため選手はいいところを見せようとすると速い球を投げたがります。でも力を入れて速い球ばかり投げている選手に限って、「ゆるい球を投げるのが苦手な選手」が結構います。


技量の高い野球選手はスローイングの際に、「長い距離は相手に差し込むような強い球」、「短い距離は指にかかったゆるい球」を巧みに使い分けます。そして野球が上手い選手ほど「ゆるい球」を投げるのが上手いです。実に相手が捕りやすい球を投げます。

これはうちでたまにやる「パラボリックスロー」の練習の時の写真です。

「パラボリック」とは「放物線」という意味です。

これ、やってみると「意外に難しい」と感じると思います。


ゆるい球を投げる時に技量が低い選手は手先だけで投げようとします。実はこれがゆるい球を投げる時に失敗する最大の要因です。ゆるい球ほど全身を使って投げた方が微妙な強弱やコントロールを調整しやすくなります。


この写真の選手の投げ方を技術的な側面で検証すると、

○右腕はよく伸びてゼロポジションが造れている

○左手が遊んでいないので体幹がブレにくい

○左足股関節への体重移動が適切にできている

△骨盤の正対がやや不十分(若干の”手投げ")


という評価になります。すごく悪いわけではないですが、もっと質の高いスローイングに進化できる余地を残しています。


「山なりの送球をかごに入れる」という、一見遊んでいるような練習ですが、「ゆるい球を投げる技術を身につける」という観点だとこれくらいチェックポイントがあって、これらを細かく検証しながら練習に取り組んでもらっています。うちの練習メニューには傍目で見ていると「遊んでるの?」と思うようなメニューが多々あります。やり方を間違うと単なる遊びになってしまいますが、選手は「遊びの目的」を理解した上で真剣に遊んでいます。


「簡単そうに見えるプレー」にこそ野球選手の技術の差が現れます。


野球は実力が拮抗した相手との対戦ほど、「"当たり前"を確実にやり切る」が勝敗の鍵を握ります。強いチーム、良い選手は「当たり前の水準が高い」です。

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