私は高校時代、投手をしていましたが決して制球の良い投手ではありませんでした。というかかなり悪い方でした。
「制球の悪さ」という課題を持ったまま大学に進学しました。
そんな私でしたが、大学生になって社会人野球のチームで練習させてもらった時に、ある優秀なコーチに巡り会いました。彼は開口一番、「キミの制球力が悪いのは『脱力』が下手だからだよ。それに脱力すればもっと球威が上がる」とアドバイスされました。
最初は「力抜いたら球威が落ちるじゃん?」とあまり信じていなかったのですが、大学1年の冬、そのコーチの指導のもと、フォームを改造して『脱力』に取組みました。
結果は。。。
制球力は飛躍的に改善され、球速は10km/hアップ!
彼はその種明かしをしてくれました。
「投球で一番大事なのは『タイミング』。手足を動かすタイミングが合うだけで球速は上がる。力を入れて投げるよりもよほど効率的。しかも力を入れると手足のタイミングが狂いやすくなるので、余計に球速が上がらない。キミの場合は手足のタイミングがズレていたことが一番の課題だった。もう大丈夫だよ。」と。 彼の言う通りで、大学2年春のシーズンに「1試合最多奪三振」のリーグ新記録を達成し、「ストレートで勝負できる投手」に変身しました。
制球力の悪い選手を指導する時に「力を抜いて」というアドバイスはひとつのメソッドではあるのですが、手足の動作タイミングを合わせないと球速が落ちるだけで制球力は改善しません。しかし、脱力することで手足のタイミングを合わせる難易度は下がります。 つまり『脱力』は根本的な解決策ではありませんが、大切かつ有効な「改善プロセス」であると思います。 特に最近の小学生は足の動きに対して手が遅れる選手が多いので、修正するプロセスとして「脱力」は有効だと思います。