1年くらい前にこのページで「誉められ慣れ」という話を投稿しましたが、今日は「叱られ慣れ」という話です。
叱られても結局同じことを繰り返してしまう、もしくは似たようなことをやってしまう。そういう子は「叱られ慣れ」している可能性があります。
「人を叱る時」って、以下のプロセスがあると思います。
①好ましくない現象を起こした時に指摘する
② ①を起こしてしまった原因を確認する
③ ②を解決するための対策を提示もしくは一緒に考える
④ ③を行動に移すことを促す
⑤ ④を実行しているかどうかを徹底して観察する
⑤でやはり出来ていなければ①に戻ります。
私は子どもを叱る時、「叱った後」が大事だと思います。「叱ったら終わり」ってさっぱりしているようですが、実は冒頭の「叱られ慣れ」を産み出す原因になっている可能性があります。守備で「腰が高い!」と指摘するのは①の段階です。でもそこで「腰が高いことは指摘した」と指導者が満足してしまうと、選手は「腰の高さ」を指摘される間さえ耐え忍べばやり過ごせます。
私は「叱られ慣れ」を産まないためには⑤がとても大切だと思います。そのためには「どの選手に何を指摘したか」は必ず覚えておかないといけません。現在うちには23名の選手が居ますが、どの選手にどんな指摘をしたかは全部覚えていますし、毎週の野球ノートへの返事にその日の練習で指摘したことを書いて戻すようにしています。そして選手が①〜④を理解して実行しているかどうかを観察しています。23名の選手でも私が⑤を徹底して実行するにはかなりの「観察時間」を取る必要があります。だからこそ私は「黙って選手を観察する時間」を多く取ります。
①〜⑤はご家庭でも親御さんには大切にして欲しいと感じます。「叱られ慣れ」している選手は親御さんが過干渉で、子どもに対してたくさんの①を投げかけているだけに留まっているケースが多いように感じます。職場でも上司が①だけをやっている職場では、部下は主体性が乏しく指摘事項が改善されにく傾向があるように思います。これも「叱られ慣れ」だと思います。
「叱ること」自体は指導者の主たる活動目的ではありません。
「できるまで見届けてこそ指導」です。
「叱る時」は「できるまで見届ける覚悟」をもって叱るべきだと思います。それが「叱られ慣れ」を生み出さないためでもあると思います。