「下手くそが!でもまあ、誤審も含めて野球や。間違うから面白いんや」

その昔、故仰木彬氏が審判に猛抗議した後に発した言葉だそうです。私はこの言葉に仰木氏の野球という競技に対する愛着、選手や審判に対する愛情を強く感じました。
私は野球って「絶対に成功しなければならないプレー」「そもそも難易度が高いプレー」が入り混じっているからこそ面白いんだと思います。ミスや間違いは起こる。でもしない方がいい。だから努力して精度を高めようとする。この繰り返しです。
「絶対に間違える心配がない」 「予想した結果が必ず出る」
そんな予定調和になんの楽しみがあるでしょうか?
間違いは仕方ない。でも間違いから眼を背けてはいけない。
私は選手がミスをした時に叱ることは悪いことではないと思います。しかし「叱り方」はとても重要だと思います。
「上手いと思っていてもミスするんだから、もっと練習しないといけないね」とか「難しいと思っていてもできる時もあるんだから、いつも一生懸命プレーしないといけないね」といった、能動的な気持ちを形成できるような言葉を添えて「叱る」ことは必要ではないかと思います。
「ミスを恐れず思い切ってやれ!」と言って放置するだけでは、子どもは同じ間違いを繰り返します。間違いを「成長の糧」にしていくためにはやはり「自らの過ち」と真剣に向き合うことが必要だと思います。そして指導者は選手の対面に立って間違いを断罪するのではなく、選手に寄り添って「この間違いをどうやって『成長の糧』に変換するか?」を考え、実践していく役目を持っているのだと思います。
「間違うから面白い」 そんな余裕を持ってグラウンドに立ちたいです。