「大切にプレーする」ということを選手に話す時があります。「大切に」とは単に「慎重に」という意味ではなく「できることを怠らずにやる」という意味も含まれます。
「好球必打」「全力疾走」これも「大切に」に含まれます。 長くプレーしていると様々な選手を目の当たりにします。私の友人の中には「たった一度のチャンスをモノにして強豪校のレギュラーの座を射止めた選手」も居れば「たった一度のミスで大学時代ずっと干されてしまった選手」も居ます。そしてこの「たった一度」は学童→中学→高校→大学と年齢が進んでいくに連れて、挽回する機会が少なくなっていきます。
指導者は指導する選手の年齢が上がるに連れて「機会」の大切さを教えていかなければならないと思います。なぜなら自分が手塩にかけた選手を送り出す先は「更に厳しい世界」だからです。
学童野球の指導者は選手がミスをしても「次は期待しているよ」でいいかも知れません。中学になると「同じミスをするなよ」になり、高校になると「次にミスするとその次はないぞ」になり、大学になると黙って二軍に落とされるチームもあります。 厳しいですがこれが野球の世界の「現実」です。
「次はやる」ではなく「今やる」
「誰かがやる」ではなく「自分がやる」
「何とかなる」ではなく「何とかしようとする」
そんな姿勢が「大切にプレーする」に繋がると思います。程度の違いこそあれ、そんな執着心を持った選手は必ずと言っていいほど技術的にも上達します。 以前にこのページで書いたことがありますが、「厳しい練習を課すことは方法論」に過ぎず、大切なことは成長に応じた「厳しさを教えること」だと思います。
「厳しさに向き合える選手」は必ず「立派な選手」に成長してくれます。