
冬季練習のシーズンです。
現役時代から数えて40年近く野球に携わっていますが、冬を越えて「劇的に強くなるチーム」と「春以降全く成果が上がらないチーム」のどちらも見てきました。どのチームも「体力強化」を掲げ、概ねどのチームも冬を越えると体力の向上はします。しかしチーム成績には大きな差が出てしまう。この違いは何でしょう?
私は「体力強化を何に生かすか?」というコンセプトが不明確な場合に失敗が起こるように思います。例えば持久走ばかり走らせたために選手が痩せ細ってしまって、春になると他のチームに力負けするケースも見受けられます。これは「体力強化」自体が目的化してしまい、プレーに反映させることに眼が向いていないため、体重の減少や瞬発力の低下に気付いていないためだと思います。嘘みたいな話ですが高校野球の強豪校でもこのようなケースは見受けられます。
「体力強化してどうするのか?」「筋力が上がったら、その筋力を活かしてどんなチームを創るのか?」を具体的なコンセプトとして掲げ、体力強化と並行して技術練習を行わなければなりません。
例えば「守りのチームを創る」と決めれば、全員が徹底して守備の意識を高めて練習に取り組む。そうしなければ「守りのチーム」はできません。個々に見れば「守備範囲に課題がある選手」「グローブのハンドリングに課題がある選手」「スローイングに課題のある選手」など様々ですが、最終的には「堅守の一員になる!」という意識を持って個々の課題克服に取り組まなければならないと思います。
「僕は守備が苦手なので打撃で頑張ります」だと、その選手はチームの流れに乗れません。上手いとか下手は関係なくて、チームが「守備の強化」を掲げれば全員で「守備を頑張る」をやり切らないと、結局この選手のエラーで負けるのが野球です。
強いチームは必ず「チームカラー」を持っています。
指導者は「どんなチームを目指すか?」を掲げるべきだと思います。「達成する自信がない」「批判されたくない」といった理由で構想を掲げない方もいますが、私はよくないと思います。選手は仲間と一緒に「チームカラー」を創り上げて行くことが自信に繋がると思いますし、そのプロセスに意味があると思うからです。
冬季練習は技術を高め、体力を向上させるだけではありません。
「来シーズンはやれる!」という「自信」を築く時期でもあります。
「練習は嘘をつかない」です。
もし成果が出なければ、それは「練習が嘘をついた」のではなく「自分が練習に嘘をついた」のだと思います。
※画像と本文は無関係です。