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東横ポニーBayWinds監督・廣川のBlog

中学硬式野球の現場から見た少年野球に対する指導者の想いを綴っています。
​東横ポニーBayWindsは東京・横浜・川崎を中心として活動する中学硬式野球チームです。

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「大きく曲がるスライダー」にはリスクがある


今回は変化球を投げるリトルリーグ選手や中学生以上の選手向けです。

中学生になると投手は変化球を習得します。最近ではスライダーが最もポピュラーな球種だと思います。最近では右投手であればスライダーを投げない投手は居ないんじゃないかと思うくらいみんな投げますが、意外とその特性が正しく理解されていないので、今回はスライダーについて解説したいと思います。

【スライダーが曲がる原理】

スライダーというのはボールに横回転をかけて横に曲げる球種です。そんなことはわかっていますね。スライダーの曲がり方に影響を及ぼすのは下記の3要素です。

①ボールの回転数

ボールが回転することでボールの右側と左側に「気流の差異」が発生します。この左右の気流差異が大きいほどスライダーの曲がりは大きくなります。当然回転数が上がれば「気流の差異」は大きくなるので大きく曲がります。

②ボールの推進力

推進力は一見、曲がりを邪魔しそうですが、推進力が高まるとボールに対する空気抵抗が高まるので、曲がりに鋭さを与えます。球速が上がれば曲がりが鋭くなります。

③ボールの角度

これは①②の応用ですが、右投手の場合、右打者の外角に投げるとボールに発生する気流の左右差異が大きくなり、斜めに空気抵抗を受ける状態になるので曲がりが大きくなります。

【中学生によくあるスライダーの傾向】

中学生は筋力が弱いため、基本的に高校生や大学生よりもスライダーが曲がりません。つまり①②の要素で曲げるのは難しいということです。中学生で曲がりの大きなスライダーを投げる選手はほぼ全て③の要素を使ってスライダーを曲げています。

この角度をつけるための投げ方に問題があります。

図のように肘開いて、頭とボールに距離を作れば角度ができるのでスライダーは曲がりが大きくなります。しかしこの投げ方は

「曲がり始めが早くなって打者から見極めがしやすいこと」「肘への負担が大きいために肘を故障してしまうリスクが高いこと」がリスクとして挙げられます。

つまり筋力のない投手がスライダーを大きく曲げることにはほとんどメリットがなく、むしろリスクしかないと言っても過言ではありません。

そのために私は「中学生はスライダーは曲がらなくて良い」と言っています。

そもそもスライダーは「ストレート錯覚させること」で効果が増す球種です。大きく曲げる必要はないと思います。ちょっと芯を外せば良いのです。

それが大切な選手を故障から守ります

甲子園を見ていても最近、曲がり始めが早く球速が遅いスライダーを投げる投手が増えているように感じます。地方大会レベルだとその傾向は更に顕著です。これも「大きく曲げよう」の弊害ではないか?と私は思っています。

今年から導入される新軟式球は「スライダーがよく曲がる」という声をよく聞きます。恐らく表面に施されたハート型のディンプルの影響だと思います。「スライダーが曲がる」という誘惑に負けずに故障なくプレーして頂きたいです。


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